「スリー・ビルボード」秀逸な脚本に感服
2018年公開/アメリカ・イギリス/115min
監督:マーティン・マクドナー
脚本:マーティン・マクドナー
フランシス・マクドーマンド ウディ・ハレルソン サム・ロックウェル アビー・コーニッシュ
あらすじ
最愛の娘が殺されて既に数ヶ月が経過したにもかかわらず、犯人が逮捕される気配がないことに憤るミルドレッドは、無能な警察に抗議するために町はずれに3枚の巨大な広告板を設置する。それを不快に思う警察とミルドレッドの間の諍いが、事態を予想外の方向に向かわせる。
引用:Filmarks
ゴールデングローブ賞のドラマ部門で作品賞を受賞して話題になり注目していたこの映画。
2018年も始まって間もないけれどはやくも暫定マイベストになった。おそらく塗り替えられることはないんではないだろうかというレベル。
とにかく脚本が秀逸。素晴らしい。
そして今作でアカデミー賞主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドと助演男優賞を受賞したサム・ロックウェルの演技も凄い。
以下ネタバレ
娘をレイプされて殺されたミルドレットが未だに犯人が捕まらない怒りから3つの看板に広告を出す。
「レイプされて殺された」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ?ウィロビー署長」 という3つの看板に出された広告。いかにも挑発的な表現。ここから物語が始まっていく。
一見すると娘を殺された母親と警察署長の話に思えるけどそれぞれの家族や警察官などけっこう周りの人が関わってくる。というか巻き込まれていく。
誰かにとっては悪者で誰かにとっては善人。みんな自分にとって正しい行動をとっているだけでこんないがみ合ってしまうなんて…と苦しい気持ちになったり。
人間関係の複雑な絡み合いを絶妙な俳優陣の演技と緻密に練られた脚本で描かれている。
ディクソンにボコボコにされたレッドが大けがをしたディクソンにオレンジジュースを差し出すシーンは救われた気持ちになった。
ラストシーンではいがみ合っていたミルドレッドとディクソンが人を殺しにいくという目的で車に乗る。そして話しているうちにあまり乗り気でなくなり「道中決めればいいか」という台詞で終わる。希望のある結末を想像させる台詞で締めくくるところが良かった。
他の方のレビューで色の使い方や宗教的なところの解説があって計算されてつくられているんだなと思うとますます再見せずにはいられなくなった。